現実からの逃避旅行記

現実逃避の物語。

ジムリーダーの日常 第3話「悪魔と呼ばれた生」

「よくやるなぁ…ね?チロル」
「ウィャー」とチロルも返します。
チロルというのはコトメちゃんのレパルダスのことです。
ジムリーダーやジムトレーナーといえど、日々の修行は欠かせません。
「はい!いっち!にー!いっち!にー!」
「いっち!にー!いっち!にー!」
ジムでは今、ワシオくん考案のハッスル修行を行なっています。
もちろん、ポケモン達も一生懸命ハッスルします。
ちなみにワシオくんのマトマ(ワルビアル)はとてつもなくキレキレです。
「ほら!ヨヅキさん!もっとマトマのように!!いっち!にー!いっち!にー!」
「いっち、にー!いっち、にー!」
「ヨヅキさん。私神社行ってます」
「え、あ、ありがとう。いつも悪いね」
コトメちゃんを見送るぼく。
「ヨヅキさん!何休んでるんですか!ほら!いっち!にー!いっち!にー!」
「は、はい!いっち、にー、いっ…ち…にー」
もうみんなヘトヘトです。
見た目以上に体力使うのがこの修行…
え?絵がないからわからないって?それはみなさんの想像力でカバーしてください。
ちなみに、コトメちゃんはハッスル修行をしたことがありません。
前に、何故やらないか聞いてみたのですが「あんなクソダサい振り付けのエクササイズをすると親が泣く」のだそうです…
「まだまだいきますよ!はい!いっち!にー!いっち!にー!」

OP「絵画教室」
ASIAN KUNG-FU GENERATION

-暗がり神社-
ジムリーダーの中には、その合間を縫って副業をしている人たちがいます。
実は、ぼくもその一人。
ぼくはウスキネジムの裏にある神社で神主さんをやっています。
「あ、ヨヅキさん。あの変態エクササイズはもういいんですか?」
「変態って…今日のところは一旦終了だって」
「そうですか。じゃあ、私はジムに戻ります」
「ありがとね。こっちまで手伝ってもらっちゃって」
「いえいえ。私が好きで手伝ってるだけですから」
「そう言ってもらえると本当に助かるよ」
コトメちゃんは神社の仕事も手伝ってくれています。
最近はコトメちゃんの巫女姿目当てでくるお客さんもちらほら…
しかし、その真意は『ハッスル修行』をやらないための口実だということをぼくは知っています。
この神社は普通の神社と違って悪魔を祀っています。
だからお客さんもほとんど来ないし、神を祀った神社さんとは交流がありません。
つまり、仕事という仕事がないのです。
「さて、お茶でもしようか。ね?ツキミ」
ツキミは「待ってました!」と言わんばかりのはしゃぎっぷり。
ジムリーダーといえど、休息は必要です。
副業を行なっているときは基本『非番』という扱いになり、ジム戦以外の公務はジムトレーナーに任せることになっています。
逆を言うと、『ジム戦』を申し込まれると嫌が応にも公務を施行しなくてはなりません。
急を要する場合やその他公務中の場合はジムリーダー代理を立てるか、挑戦者さんとの交渉になります。
さて、お茶をしているだけのシーンでは絵にならないので、暗がり神社についてももう少しお話ししておきましょう。
インヨウ地方には2つの大きな社があります。
サイヒシティにある『明るみ大社』とウスキネタウンにある『暗がり神社』です。
明るみ大社は別名『海神の砦』とも呼ばれ、かつて『ルギア』が生息していたとされる場所です。
インヨウ地方では二つの伝説があり、その片方が『ルギア』にまつわる伝説だと伝えられています。
そして、もう一つが『陰の悪魔』とも呼ばれる『イベルタル』の伝説。
その伝説では、世界を破壊し尽くしたイベルタルが眠りについた場所としてこの『暗がり神社』が出てきます。
元々は何を祀っていたのか、誰が建て、いつ出来たのかすら不明のこの神社には、本堂の奥に開かずの扉があります。
人はそこにイベルタルが眠っていると言います。
それがただの噂なのか真実なのか、それは誰も知りません。
「ヨヅキさん!」
そうこうしているとコトメちゃんが呼びにきました。
「やっぱりここにいたんですね」
「まあね」
「見つけにくいからもっとわかりやすいところにいて欲しいんですけど」
「でも、見つけれてるでしょ?」
「5年もあなたのそばにいればこそですよ。なんでここなんですか?」
「わからない。でも、好きなんだよ」
「私には理解できませんね。なんか生ぬるい気がするし、禍々しい気もするし。とにかく、ジムに戻ってください挑戦者の方がいらしてます」
「ああ。ありがと」
ここは暗がり神社。
悪魔を祀る神社。
悪魔とはなんなのか?
あくとは何か?
僕の最大の疑問で、最大の壁です。

-翌朝-

「ヨヅキさん!!コトメ!!二人も動く!!ほら!いっち!にー!いっち!にー!」
ワシオくんは今日もハッスル修行に明け暮れます。
「2日連続はきつい…」
「勝ちが続いてるからといって胡座かいてちゃだめですよ!」
「わたし、神社行ってきますね」
そういうとコトメちゃんは早足でジムを出て行きます
「あ!ずるい!!ぼくも…」
「ヨヅキさんは逃がしませんよー!いっち!にー!いっち!にー!」

ED「メランコリニスタ」
YUKI